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 第6回 「大麻の精神変容作用」
  
(世界戦略情報「みち」平成23年(皇紀2671)6月15日第340号)

●大麻は悠久の人類史のなかで万能の植物として各民族の間で愛用されてきたが、わずか半世紀前に「麻薬」の烙印を押されて闇に葬られてしまった。
 大麻を冤罪に陥れるための偽の根拠が、大麻に含有されているテトラヒドロカンナビノール(以下、THC)という化合物が精神変容作用を引き起こす、というものである。
 大麻にはTHC類似の化学物質が少なくとも六〇種類含有されているといわれる。そのうち生物学的に作用が認められるのは数種類であり、最も強力なのがTHCとされている。
 THCにはアルコールやタバコ、コーヒー、アヘン、コカインなどと同じく、精神変容作用がある。その特性ゆえに医療用薬品にも利用される。
 一方、大麻にはカンナビジオール(CBD)という化合物も含まれている。この化合物はTHCがもつ精神変容作用を打ち消す働きをする。
 したがって、大麻の精神変容作用の強さは、大麻に含有されるTHCの絶対量と、THCとカンナビジオールの割合によって左右されることになる。
 大麻に含まれる二つの化合物の絶対量と割合を基準とすれば、大麻はインド大麻のようにTHCが多いものと、日本大麻のようにTHCが少ないか、ほとんど含まれておらず、かえって精神変容作用を抑えるカンナビジオールが多いものに大別できる。
 通常、前者は「薬用」、後者は「繊維用」と区別されている。
 さて大麻の有害性については、これまでに専門家で組織されたいくつかの調査委員会が本格的な検証を行なっている。以下に列挙する著名な五つの報告はいずれも大麻の有害性を否定しており、極めて重大な意味を持つ。

@英国のインド大麻薬物委員会による報告
 英国のインド大麻薬物委員会は、一八九三年から二年間にわたって調査を実施し、その結果を三六九八ページもの大著に纏め上げた。
 身体的影響については、特異的な体質の人を除けば、強い影響は認められないという。
 これに対して精神的影響は、特異体質の人に限って興奮作用が認められるものの、適度な使用では影響は見られないと報告している。
 こうした結果が出たのは、大麻に含まれるTHCが少量で習慣性もないため、「大量に摂取した」例が見られず、その結果として「適度な量」だけが観測の対象となったことによる。
 但し、この研究は科学技術が今ほど確立されていない百年以上も昔の話であり、内容の信憑性や正確性を巡って議論を呼び起こす余地があると指摘する向きもある。

Aラ・ガーディア委員会報告
 米国で大麻課税法が成立した直後の一九三八年、当時のニューヨーク市長フィヨレロ・ラ・ガーディアが米連邦麻薬局長官アンスリンガーの強引な大麻キャンペーンに疑義を呈した。ニューヨーク医学アカデミーに要請した結果、委員会が開催されることになった。
 委員会は薬理学、心理学、社会学、生理学など二〇人の学者で構成され、中立的な立場を保っていた。
 研究活動は一九四〇年から四年間にわたって行われた。その結果は報告書に纏められて公表され、おおよそ次のような内容だった。
  ・大麻の常習者は、社交的な性格の人 が比較的多く、攻撃的ではない。
  ・犯罪と大麻の関係は見られない。
  ・身体的・精神的には性欲を特別に高 めるような興奮作用は見られない。
  ・禁断症状はない。
  ・数年にわたって大麻を吸い続けても 精神的・肉体的な機能が落ちること はない。
 このように、研究結果はアンスリンガーらの反大麻キャンペーンの内容をことごとく否定するものだった。
 大麻課税法の成立時に使用された宣伝がほとんど医学的根拠を持たず、捏造されたものであったことを、白日のもとに曝したわけである。
 ところが、米政府は都合の悪い結果には無視を決め込んで沈黙したまま、当初から決めた筋書き通り、大麻に「死刑宣告」を下したのだった。

B世界保健機構(WHO)の報告
 一九七〇年、世界保健機構(WHO)で大麻を巡って一一人の学者が討論を行った。
 その成果は『健康および心理に対するアルコール、インド麻、ニコチン、麻薬摂取の結果の相対的な評価』という報告書に記録され、次のように結論付けられている。
 まず、奇形の発生、衝動的な行動、大麻の吸引量が漸増するといった、激しい障害や習慣性はない。
 さらに、麻薬に特有の禁断症状などは認められない。
 注目すべきは、いわゆる「入り口論」に対して、「大麻がきっかけになって、ヘロインなどの麻薬につながることはない」と指摘している点だ。
 当時はベトナム戦争まっただ中にあり、米国ではさまざまな社会運動が活発に繰り広げられていた。
 その影響を受けて、「大麻は麻薬ではないが、若者が麻薬を使うきっかけになる」という、いわゆる「入口論」が登場した。
 アンスリンガーらが行なった一連のキャンペーンでは、一貫して「大麻を吸うと人格が破壊され、凶暴になる」と宣伝していた。
 しかし、それが根拠のない捏造宣伝であることが発覚するや、「大麻自体はそれほど問題ではないかもしれないが、大麻の吸引は若者を麻薬の道へと向かわせる」という理屈にサッとすり替える芸当をやってのけた。
 いずれにせよ、この報告書では大麻吸引の影響として精神的依存性を指摘してはいるが、最終的には「大麻は健康上は問題がない」と結論付けている。

Cシィーファ委員会報告
 ニクソン政権時代、「薬物規制法」に基づいて、元ペンシルバニア州知事のロイヤルド・シィーファ氏を委員長とする「マリファナ及び薬物乱用に関する全米委員会」が開催された。
 法と秩序の回復を目指してニクソン大統領が直々に開催を命じたものだ。
 マリファナ(大麻)を葬り去ろうとする勢力は、その有害性を捏造する工作を執拗かつ強力に推進した。だが、良識ある人々の粘り強く激しい抵抗に直面し、苛立ちが募るばかりだった。
 業を煮やしたニクソン大統領は、この膠着状態に一気にケリをつけようとして自ら動いたわけである。その決意のほどはシィーファ氏をはじめ委員会の委員のうち過半数をニクソン大統領自身が選んだところに見てとれる。
 ところが、一九七二年に出された報告書『マリファナ〜誤解の兆し』は、ニクソン大統領の思惑と正反対の内容となってしまった。その内容は、以下の通りである。
  ・マリファナを吸うことで起こる身体 機能の障害について、決定的な証拠 はなく、きわめて多量のマリファナ であっても、それだけで致死量に達 することは立証されていない。
  ・マリファナが人体に遺伝的欠陥を生 み出すことを示す信頼できる証拠は 存在しない。
  ・マリファナが暴力的ないし攻撃的な 行為の原因になることを示す証拠も ない。
  ・医学的には、マリファナ摂取による身体機能の変化として、一時的なわずかな変化だが、脈拍が増加する。 最低血圧がわずかに上昇し、最高血 圧は低下する。
  ・目が充血し、涙の分泌が少なくなる。 瞳孔がわずかに狭くなり、目の液圧 が低下することがある。
  ・通常の摂取量ではマリファナの毒性 はほとんど無視してよい。
 さらに、同委員会の翌年の最終報告では、「マリファナの使用は、暴力的であれ、非暴力的であれ、犯罪の源とはならず、犯罪と関係することもない」と断定している。
 ニクソン大統領は報告を受けて烈火の如く怒り、自分が作った委員会の報告書の受け取りを拒否したという。
 先述のラ・ガーディア委員会は、大麻弾圧に反対する勢力が開いた。この委員会の研究報告が大麻の有害性を否定したことに対しては、「自ら都合の良い結果を出したのではないか」という反大麻勢力側からのもっともらしい抗弁を受ける恐れがある。
 反面、反大麻勢力側は自ら組織した「御用委員会」が出す結論に対しては文句は言わない。自分たちに有利な証言をする者たちを優遇することはあっても攻撃するはずがない。
 ところが、こともあろうか、シーファ委員会は雇い主の意向とは正反対の結論を出したわけである。まさしく飼い犬に手を噛まれたニクソン大統領ら反大麻勢力の驚愕と狼狽のほどは察するに余りある。
 権力に媚びず怯まないシーファ委員会のメンバーたちの勇気と度胸の強さは賞賛に値する。
 しかし、大麻の有害性を立証し得る証拠を如何にしても見い出すことができず、根負けしたと言う方がより適切であろう。そもそも大麻は麻薬ではないのだから、当然といえば当然の結果である。

D仏国立保健医療研究所の報告
 一九九八年、フランスの国立保健医療研究所のベルナールピエール・ロック教授のグループが、アルコールやタバコは大麻より危険だという研究報告をまとめた。
 彼らはクシュネル保健担当相の指示で「麻薬の危険度調査」を行った。具体的には、調査対象の各薬物について「身体的依存性」、「精神的依存性」、「神経への毒性」、「社会的危険性」など各項目ごとに調査した。
 その結果、アルコールはいずれの項目でも危険度が高く、ヘロインやコカインと並ぶ最も危険な薬物と位置づけられた。
 タバコは鎮静剤や幻覚剤と並んで二番目に高いグループに分類された。
 これに対し、大麻は依存性や毒性が低く、最も危険度の小さい三番目のグループに入った。

●以上のように、大麻には人格を破壊したり、禁断症状の末に廃人にしたり、反社会的言動を誘発するなどの有害性はほとんど無いのである。
 だが、大麻を憎悪する者たちは、強権の発動や似非学者、マスコミを総動員して大麻を冤罪に陥れる最大級の冒涜をはたらいた。これは裏を返せば、彼らが神の依り代ともいわれる神聖なる大麻の偉大な力をそれだけ恐れていることの証でもある。