本誌はハンガリー政府によるIMF離脱の勇気を高く評価します

 米国財政の崖への一考察 
  (世界戦略情報「みち」皇紀2673(平成25)年9月15日発行第389号)

●米国は今年の五月に法律で定められている借金の上限(一六兆七〇〇〇億ドル)に達しており、追加の借金ができなくなっている。そのため、米財務省は一〇月半ばにも資金が枯渇する可能性があることから、議会に速やかな借金の上限拡大を要請した。
 しかし、財政運営を巡って野党共和党議員の多くは国家破産・デフォルトしてもう一度出直しをした方が良いと考えているため、与野党の意見対立が続く議会では上限を引上げる協議がほとんど行なわれていない。そのため、米政府は現在、公務員の年金の積立金などを一時的に利用する緊急の措置で凌いでいる。 
 この問題についてルー米財務長官は議会の上下両院に書簡を送り、今のままでは一〇月半ばごろには緊急措置の資金が尽きて遣り繰りがつかなくなり、政府が債務不履行に陥りかねない状態になるという見通しを明らかにした(八月二六日)。
 この借金の上限問題を巡っては、一昨年夏に議会の対立が解けずに、一度、債務不履行の寸前にまで至り、米国債の格下げなどの混乱をもたらした。ルー長官は、議会が対立したまま今年の秋にこの問題が再燃し、仮に米政府が債務不履行に陥れば、世界の金融市場や経済に深刻な打撃を及ぼすと警告し、議会に速やかな対応を要請した。
 しかし、ルー長官は、債務上限をめぐりオバマ政権は取引には応じないとあらためて表明した(八月二七日)。
 ルー長官は経済専門局CNBCのインタビューで「われわれは債務上限に関して取引はしない」と言明。「議会は財源について既に了承し、政府に歳出を任せる決定をした。唯一の問題は、米国が自ら作った借りを返すのかということだ」と述べた。
 同時にルー長官は米経済について、多少の抑制要因はあるものの、約二%のペースで成長してきていると指摘した。そして、「さらなる歳出削減という向かい風がなければ、経済は再び上向くはずだ」と言明した。
●八月二四日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、新一〇〇ドル札が一〇月八日に発行されると発表した。
 新一〇〇ドル札には、いくつかのセキュリティー機能が採用されている。三次元(3D)の青いリボンを紙に織り込むほか、色が変わる「自由の鐘」の絵を入れるなどで、偽造をさらに難しくする狙いがあるとされている。また、現行の一〇〇ドル札と同様、ベンジャミン・フランクリンの肖像画が印刷される。
 新一〇〇ドル札のデザインは二〇一〇年四月に最初に公開され、当初は一一年二月に流通が始まる予定だった。しかし、紙に関する一連の複雑な要素があり、紙を印刷機にかけると、それが原因でしわが発生。財務省印刷局はそれ以降、問題の解決に向けて取り組み印刷の出来栄えが湿度、再生紙の含有分、紙の経年といった諸要素から影響を受けることを突き止めた、とされている。
FRBは、新しい一〇〇ドル札は一〇年にわたる研究の成果を結集してデザインを刷新したと説明している。
 特に偽造防止対策の強化には重点が置かれた。表面に印刷された青い3Dの帯は、札を前後左右に傾けると帯中の模様が動く仕組みになっている。また、インク壷と鐘の図柄、および右下の「一〇〇」の文字も、札を傾けると赤銅色から緑色へと変化する。
FRBは、偽札防止を新一〇〇ドル紙幣切り替え発行の理由としている。だが、その真意は、膨大な借金を帳消しにする非常手段として数年まえから勘案していた方策を正式に発動する意志を固めたと見なすことができる。
 FRBの真意を見透かしたかのように、米JPモルガン・チェースは同行に口座を持つ個人の預金者に対して、九月二二日以降、口座から海外送金ができなくなるとの通知を出している。すなわち、実質的な預金封鎖が行なわれる可能性に備えた、事前準備通達と見なすことができる。
●今年七月一五日、国際通貨基金IMFはハンガリー事務所の閉鎖方針を決めた。背景にはIMFとハンガリー政府との関係悪化があった。
 ハンガリー政府は、昨年、中央銀行の独立性を制限して政府の影響力を強める法律を施行したため、IMFと欧州連合(EU)の金融支援をめぐる予備交渉が一時中断するなど、両者の関係が悪化していた。
 現在、ハンガリー政府は政府が発行する通貨(政府通貨)で経済を立て直している。銀行から借金をすれば利息を支払わねばならなくなるが、国家主権を発動しての通貨発行を断行すればよいということで、ハンガリーのオルバン政権がそれを実行している。
一九三〇年代のドイツ以降、ヨーロッパの主要な国がロスチャイルド家が支配する国際的銀行カルテルの支配から逃れようとすることは無かった。だが、ハンガリーのオルバン政権の選択は驚愕すべき決断で、金融的専制から自由になるための戦いを世界的に拡大させるよう愛国的民族主義者に勇気を与えるものとなるであろう。 
 既に二〇一一年、オルバン首相はIMFとテロ国家のイスラエルの鞭の下に、無限に続く債務にあえぐ奴隷状態に国民を売り飛ばしたとして、前任者の社会主義者バイナイ政権に対して、正義で応えると約束していた
 現在、ハンガリー政府は通貨に対する主権を発揮し、必要に応じて負債なしの通貨を発行している。その結果は顕著なもので、国家経済は以前は債務のために停滞していたが、急速に回復しつつあり、国家社会主義のドイツ以来見られなかったものになっている。
 経済大臣は、厳格な予算政策のお陰で、IMFから借りていた二二億ユーロは約束の二〇一四年三月よりかなり前倒しして二〇一三年八月一二日に支払いを済ませたと宣言。オルバン首相は「ハンガリーは投資家から信頼を得ている」と語り、それはIMFでも連邦準備銀行でも、その他のロスチャイルドの金融帝国の手先のことでもないと言明している。むしろ彼は、それはハンガリー人のためにハンガリーで何かを製造している者たちで、真実の経済成長を生み出している者たちのことだと言っている。
 ハンガリーの政府通貨発行政策は、IMFと世界銀行の管理体制下にある現在の資本主義体制下での、金融危機連鎖による苦悩から離脱できる試金石として評価されるべきであろう。
●米国は、再度深刻な「財政の崖」に直面している。しかし、オバマ政権は議会との交渉でこの問題を乗り切る意向はないと明言している。仮に、借金の上乗せができたにしても、それは一時凌ぎに過ぎず、繰り返しこの問題に遭遇することになり、米国の借金が膨れあがるだけである。
 最近、レーガン政権の経済顧問をつとめたL・コティルコフ氏は、年金、医療保険制度など社会保障にかかる『非公式』な債務を含めれば債務総額は二一一兆ドルあると指摘している。現在の「公式債務」=一四兆ドルの一五倍という途方もない数字。
 今後米国では七八〇〇万人のベビーブーマーが引退し、一人あたり四万ドルのコストがかかるとすれば、ベビーブーマー世代へのコストは年間三兆ドルかかる。
コティルコフ氏はこの財政問題を解決するには、「六割の増税か、もしくは四割の歳出削減を永遠におこなわなければならない」と指摘している。
八月二六日、米連邦検察当局は経営破綻した米自動車部品大手、コリンズ・アンド・アイクマンの元最高経営責任者(CEO)で、レーガン政権の経済顧問を務めたD・ストックマン氏を証券詐欺などの罪でニューヨークのマンハッタン連邦地裁に起訴した。ストックマン氏はレーガン政権下で行政管理予算局長官を務め、減税や規制緩和を通じて経済の活性化を狙ったレーガノミクスを推進した。
 起訴状によると、ストックマン氏らは会社の経営状態が悪化していたことを隠し、帳簿の操作などを行なって投資家や出資者を欺いた。検察当局は「ストックマン氏が(事件の)黒幕」とし、同氏の主導で悪質な会計操作が行なわれたとの見方を示している。しかし、同氏の弁護士は「会社を救おうとしたのであって、CEOに求められることをしたまでだ」と主張、争う構えを見せている。
 ストックマン氏の逮捕は、「財政の崖」をめぐる根源的な解決方法をめぐって、米政界、財界、金融界などで熾烈な権力闘争が始まっていることが暗示されている。
●現在、米国で深刻な財政危機の克服をめぐって、非常手段の発動を模索する動きが強まっている可能性がある。それは、国家破産を回避しながらも、実質的な債務不履行を断行する非常手段である。
FRBが八月に発表した一〇月八日の新一〇〇ドル紙幣発行に合わせるかのように、一部の米金融機関が預金封鎖同然の措置に踏み切る可能性を通知したことは、米政府が発動する債務不履行政策の発動に連動した動きだと見なすことができる。
現在、米国および世界の金融政策及び市場を仕切っている国際ユダヤ社会の内部に、深刻な対立が生じているとされている。その対立は真性ユダヤ・スファラディ勢力と人工ユダヤ・アシュケナージ勢力の峻別にあるとされている。
 ハンガリー政府がIMF管理体制からの離脱を公言して経済再生の舵取に成功しつつあるのも、国際ユダヤ社会の対立の余波で、ロスチャイルド系勢力が強権的な抑圧を発揮できない余慶を蒙ったと見なすこともできる。
米国内における「財政の崖」克服をめぐる対立にも、国際ユダヤ社会の対立が深刻な影響を及ぼしている。その対立は、米国崩壊の糸口になりかねないほど深刻な位相に陥っている。
米政府はその深刻な内部対立と財政危機問題を逸らすため、突如、シリア空爆に踏み切る意向を打ち出している。仮に米軍がシリア空爆に踏み切れば、イランやシリアはイスラエルへのミサイル発射を、ロシアはサウジへの軍事介入を仄めかすなど、世界情勢は実質的な第三次世界大戦位相に陥る危険性が高まる。すなわち、世界情勢は地球規模での天変地異に合いあわせるかのように、まさに、終末・ハルマゲドンに近づいているのである。
平成二五年八月三一日記