強まる支那と韓国の反日連繋 
     (世界戦略情報「みち」皇紀2674(平成26)年4月1日発行第401号)

●二月二六日、戦時中に日本に強制連行され過酷な労働をさせられたとして、支那人の元労働者や遺族らが日本の企業を相手に損害賠償などを求める訴えを支那の裁判所に起こした。
 元労働者らは、旧三井鉱山の日本コークス工業と三菱マテリアルの二社を相手に、ひとり当たり一〇〇万人民元、日本円でおよそ一七〇〇万円の損害賠償と謝罪を求めている。
 河北省唐山市中級人民法院(地裁)は三月七日までに、日本政府と日本企業二社に対して損害賠償と謝罪を求める訴訟を起こした同省の元労働者、遺族ら一二人に対し、書類不備を理由に提訴を受理しなかった。
 北京の司法関係者は今回の提訴が受理されなかった理由について、「日本政府が被告となっているため、地方の裁判所が対応できないと判断したのかもしれない」と指摘。
 一方、強制連行をめぐり支那人の元労働者らが日本企業二社に損害賠償などを求めた訴えについて、北京市裁判所が三月一八日までに訴状を受理したことを原告団の関係者が明らかにした。
 支那では、対日民間賠償を求める集団訴訟の動きはこれまで何度もあったが、裁判所が受理したことはなかった。今回の訴訟受理は支那の対日政策に大きな変更があったことを意味しており、習近平国家主席ら対日強硬派が主導したとみられている。
 北京の弁護士は、「中国の裁判は共産党指導部の意思で動いており、今の日中関係を考えると、裁判で日本企業にとって厳しい判決が出る可能性が高い」と指摘している。
 原告団を支援する活動家の主張では、戦時中に日本国内の炭鉱などで使役された元支那人労働者や遺族は「四万人」おり、対象企業も三〇社以上あるとされている。今回の訴訟を受けて各地で対日訴訟が連鎖的に拡大する可能性があり、日本企業が膨大な損害賠償の請求を拒否すれば支那における資産が没収される恐れもある。
 日本政府は、一九七二年の日中共同声明で支那が日本への戦争賠償の請求を放棄したことを受け「政府間の交渉により問題は解決済み」との立場。
 習近平政権は支那国内の不満を逸らすため、国際条約を無視して対日強硬姿勢を強める意向を今回の訴訟受理に託している。同時に、韓国政府が騒ぎ立てる慰安婦問題と連携した中韓反日連帯に傾斜している。
●二月二六日、米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像の撤去を求め、在米日本人らの団体が市を提訴した問題で、慰安婦像設置を決めた市議会は原告側と争う姿勢を鮮明にした。市側はこれまで訴訟に対する態度を公式に表明していなかった。だが、市議会公聴会で韓国系住民らの慰安婦像設置の継続を求める意見を聞いた後、市議らが言及した。
 公聴会には、韓国系のほか、支那系や戦時補償などを求める一部日系人団体関係者らが詰めかけ、約八〇席の傍聴席をほぼ埋め尽くした。韓国系住民は「日本軍に強制的に慰安婦にされ」「セックス・スレイブ(性奴隷)として」などと根拠のない主張を繰り返し、日本政府に謝罪を求めた。
 関係者によると、韓国系団体は当初から公聴会で「在米の韓・中・日系の連合団体が歴史を知らせる共同対応に乗り出す」と計画していたといい、「反日包囲網」を強く示すことで、市側をサポートする狙いがある。
 支那系団体関係者は、「原告側は、慰安婦像があることによって、日本人が『居づらい』というが、そんな人間に慰安婦の気持ちが分かるわけがない」と批判。日系人男性も「戦時中収容所に入れられたが、後に米政府から謝罪とお金をもらった。日本政府も慰安婦に謝罪し、償うべきだ」と語った。
中韓連帯の反日包囲網戦略は、一部の日系人をも取り込んで米国内での活動に活路を見いだしている。
●三月五日、支那の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)の第一二期第二回会議が北京の人民大会堂で開幕。李克強首相は今後一年の施政方針を示す政府活動報告を行ない、経済成長率の目標を七・五%増程度に据え置いた。
支那では三月一日に雲南省昆明市で無差別殺傷事件が発生。北京政府は新疆ウイグル自治区の分離独立派の犯行と断定したが、政府活動報告では「各民族はみな中華民族の平等な一員だ」と少数民族に配慮する姿勢を強調してもいる。
 外交面では名指しこそ避けたものの「第二次世界大戦で勝利した成果と戦後秩序を守り、決して歴史の逆回転を許さない」と日本を牽制。中台関係では、政治信頼の促進と経済面の融合を一層進める方針をあらためて示した。
 三月八日、支那の王毅外相は記者会見で、日本や米国を批判する一方、周辺国などへの挑発行為を行なう北朝鮮やロシアに対する非難は避けた。欧米や日本と距離を置き、旧東側陣営との関係を重視する習近平政権の外交スタンスがよりいっそう浮き彫りになった。
 王毅は、北朝鮮の核問題について「六ヶ国協議の議長国として協議の早期再開を希望している」などと述べ、支那の従来の主張を繰り返した。
 北朝鮮の金正恩政権が昨年一二月、親中派の実力者、張成沢の処刑に踏み切って中朝の要人の往来が一時止まり、関係が悪化したと指摘する声もあった。だが、王外相の発言で支那の対北政策に大きな変化はないことが明らかになった。
 王外相はまた、緊張が高まっているウクライナ情勢について「今日の事態に至った原因があり、背後には複雑な歴史経緯と利害の衝突がある」と語り、ウクライナへの圧力を強めるロシアへの非難を避けた。そのうえで「冷静さと抑制を保持し、さらなる緊張のエスカレートを避けることが急務だ」と語り、対露制裁を進める欧米諸国を牽制した。
 米中関係については、「互いに領土や社会制度、核心的利益を尊重することが大事だ」と語った。オバマ大統領が最近、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ一四世と会談したことを暗に批判した。
一方、支那経済の先行きに対する不透明感が市場で一段と強まっている。
●支那の債券市場で三月七日に起きた初の社債デフォルト(債務不履行)と、前年同月比で一八・一%減少した二月の支那輸出統計の影響が拡がっている。銅を担保にした資金調達が減るとの思惑から上海先物取引所で週明けから銅相場が続落し、三月一二日株式市場の上海総合指数も反落。
支那初の債券デフォルトは、リスク意識の甘さからモラルハザード(倫理の欠如)を起こしている支那の投資家への「警告」にはなったが、市場では連鎖デフォルトによる混乱や「影の銀行(シャドーバンキング)」関連の金融商品への飛び火を警戒している。
 また、輸出低迷は人件費の高騰や人民元高による支那製品の国際競争力の低下を裏付けた。そして李首相が全人代の「政府活動報告」で訴えた、消費拡大はまだ効果を上げていない。成長エンジンだった公共事業などの投資が抑制され輸出も伸びないとなると、「経済成長率で政府目標七・五%を達成するのは困難」な情勢。
 さらに、外需も内需も伸び悩むなかで、デフォルト問題へのコントロールがきかなくなれば、支那は成長減速のみならず、「成長失速」の黄信号すら点灯しかねない。
 三月一三日、支那の第一二期全人代第二回会議は、今年の経済成長率目標を前年と同じ七・五%に設定することなどを盛り込んだ政府活動報告や二〇一四年予算案などを承認し、閉幕した。
 閉幕後、記者会見した李克強首相は「全面的な改革深化」への決意を表明。問題化する正規の銀行融資でない「影の銀行」のリスクについて個別金融商品の債務不履行は「避けられない」とし監視を強化する考えを示した。
 影の銀行をめぐっては、年内に五〇〇〇億元(約八兆三〇〇〇億円)前後の債務不履行の発生懸念がある。発生が連続すれば市場心理が冷え込み、負の連鎖が海外にも広がる恐れもある。
 李克強は「デフォルト発生は見たくない」と前置きしたうえで、容認論を展開。「監視を強め、金融システムリスクへの波及を防ぐ」と強調した。さらに、「債務リスクはコントロールされている」と自信をみせた。全人代開幕中の七日には、支那初の社債デフォルトが発生しており、一定のデフォルト容認方針は中長期的には市場健全化に結びつくとみている模様である。
 外交政策については昨年同様、「国家主権と領土を守る意志は揺るぎない」と強調。名指しは避けつつ、尖閣諸島問題などで対立する日本や、南支那海で領有権を争う東南アジア諸国への強硬路線の継続を示唆した。
 全人代で、政府活動報告には投票総数の九九%を超える二八八七票の賛成票が投じられた。深刻な大気汚染の改善や腐敗撲滅に取り組む姿勢が評価されたとみられる。前年実績比一二・二%増を計上した国防費や治安維持に充てる公共安全費といった予算案などへの反対・棄権票も昨年から減少した。
 一方で最高人民法院(最高裁)と最高人民検察院(最高検)の活動報告にはそれぞれ一六、一七%の批判票が寄せられ、汚職対策に対する不満が示された。
 支那の経済成長不安が高まるなかでの全人代が閉幕した。習近平政権は、高まる内憂を外患で逸らす意向に転じているが、全人代開幕中に奇妙な事件が起き、支那はその真相を躍起になって探っている。
三月一〇日、支那はマレーシア航空の旅客機が南支那海で消息を絶ったことで、海軍艦艇を含む大捜索陣を展開したほか、外務、警察など政府の合同チームをクアラルンプールに派遣した。国外で起きた他国籍機の行方不明事案では異例の態勢だが、乗客の大半が支那人という自国民保護の必要に加え、「テロの可能性」の有無を早期に見極めたいとの意向が強いからである。
 また、全人代開幕中に、モンゴルで横田めぐみさんのご両親が孫娘ウンギョン(恩慶)さんと会っていたことが公表された。この事実は、支那が韓国と連携した反日包囲戦略を強めるなか、日朝関係の改善が急速に進捗する可能性を暗示している。すなわち、中韓反日包囲網戦略が日朝関係の進捗を後押しする形となっており、支那にとっては不本意な動きであろう。
平成二六年三月二一日記