常夜燈索引

                    

   世界神国化の大経綸 
   (世界戦略情報「みち」平成21年(2669)4月1日第291号) 

▼今日の米国経済凋落の最大の原因がマネーゲームに走り、物作り=製造業を疎かにしたことにあることは衆目の一致するところである。大工業国米国の代名詞だったGMやフォードが事実上の倒産状態に陥ったのも、日本、ドイツ、韓国などからの輸入車に押され、売れる車を作ることができなくなったからである。
 燃費の良い小型車、ハイブリッド車、燃料電池車など、次世代カーへの技術開発や投資を怠り、二〇年に及ぶ石油安の時代に利益率の大きい大型車の製造に安住した。日欧の低燃費車に追い上げられると、車の製造販売で利益が出なくなったビッグ・スリーは、メーカーではなく、車を媒介とした金融会社に変貌し、金融での利益が主たる収益源となっていた。遂には、車を売る際に組む自動車ローンからの収益がGMの利益の六割を占めるまでになっていた。優良企業とされるGE社でも金融小会社のGEキャピタルが半分近い利益を稼ぎ出していた。
 このように巨大製造業が、金融依存体質に変質していたのだ。技術開発や人材育成など、手間暇のかかる物作りより、マネーを動かすだけの金融業は容易く利益を上げることができるので、安きに流れたのだろう。ただレーガン大統領の時代、軍需産業への集中投資を行なって米国製造業の競争力向上に努めたこともあるが、インターネットなどIT分野の競争力は増したものの基礎的な物作り、つまり工業力の強化にはつながらなかった。
▼麻生・オバマの日米両首脳は二月の会談で日米間の官民合同の技術協力に合意した。四月にも環境やエネルギーの先端八分野で日米が提携する覚書に調印、日米官民による作業部会の開催を検討している。日米提携の八分野とは、

①燃料電池・水素関連
②バイオ燃料
③材料分野に関する計算科学(スーパーコンピューターを使いタンパク質の分子構造などを分  析する研究など)
④炭素回収・貯留
⑤太陽光発電
⑥ナノエレクトロニクス・ナノマテリアル(半導体を極限まで小さくする技術の開発など)
⑦熱電変換技術(材料の持つ特性を生かして熱と電機を直接変換する技術の開発)
⑧水素燃焼技術

であって、環境・エネルギー分野で優れた技術力を持つ日本を取り込む狙いが米国にあると見られる。
▼昨年はノーベル物理学賞を南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏の三名が受賞し、ノーベル化学賞を下村脩氏が受賞するという快挙が伝えられた。また、『おくりびと』(滝田洋二郎監督作)がアカデミー賞外国語映画賞を、加藤久仁生のアニメ映画『つみきのいえ』が同短編アニメーション賞を受賞した。世界野球クラシックス(WBC)で日本が韓国に決勝で勝ち、二連覇を達成したのはつい最近である。
 米国やヨーロッパで日本人の業績が認められ賞賛されることは誇りとすべきことではあるが、そこに褒め殺しの罠が潜んでいないだろうか。
 米国経済の建直しに、衰退した製造業、物作りの再建が欠かせないことは多くの識者が指摘するところである。レーガン政権以来、いやケネディ政権以来、米国は製造業や工業力の強化に取組んできたものの、失敗に終わっている。そうであれば、製造業や物作りに強い国や民族を取込み、わが物にしてしまえ、と指導層が考えても不思議ではない。
▼平成一七年(二〇〇五)一月二九日、わが国の外務大臣、防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官が「日米同盟……未来のための変革と再編」という文書に署名した。この文書では、日米安保条約での日米軍事協力の対象範囲であった「極東」が「世界における課題に効果的に対処」と、世界にまで拡大された。さらに、日米安保では「国連憲章の目的および原則」に従う目的で日米協力がなされるとされていたものが、「日米共通の戦略」のため、と事実上米国の戦略のために日米軍事協力がなされることが合意された。
 田母神俊雄前空幕長の「問題発言」を奇貨として、自衛隊の警察=内務省支配は米国の後押しもあって、さらに進行した。民主党・小沢代表への国策捜査にも、反軍=反自衛隊思想を有する旧内務省勢力の暗躍が囁かれている。
 北朝鮮によるミサイル打ち上げは、日本の防衛が米国の支援なしには成立しないことを世論に印象付ける機会となるだろう。
 天皇皇后両陛下は七月を軸に真珠湾ご訪問の予定と報じられている。戦後の清算と和解を象徴する歴史的な訪問となりそうだ、といわれている。
▼米国が日本との事実上の合邦を通じて、その負債を清算し、不足している物作り、先端技術、優秀な労働力を取り込み、新たな発展のエンジンとしたいと望んでいることは、年俸数十億円で米大リーグにスカウトされる日本のプロ野球選手の増加を見れば明らかであろう。事は単に娯楽分野に止まらない。
 この海賊民族根性丸出しの略奪意図を逆手に取って米国を日本化し、世界維新、世界神国化の大経綸を実行する度量がわが日本にあれば世界は変わる。
 大風呂敷と大法螺の大天狗の出現を世界は待っている。(青不動)