常夜燈索引

                    

  米朝間の新たな密教回路 
    (世界戦略情報「みち」平成21年(2669)11月15日第305号) 

▼白洲次郎、彼は四分の一ユダヤ系の血を引くといわれ、大英帝国がわが国に送り込んだ残置諜者である。米占領下の日本における英国権益を守るのが役割だった。また竹中平蔵は米金融・保険業界の残置諜者として郵政民営化を行なって郵貯、簡保資金の対米流出を謀るのが役割だった。
 江戸の徳川幕府は外様大名領に多くの「草」を放っていた。「草」は現地に溶け込み、ごく普通の商人や農民に扮し孫子の代にまでわたって情報収集に務めたという。時には藩の重役になる者もいた。これも残置諜者である。大日本帝国が朝鮮半島や満洲、台湾に残置諜者を置いたのは歴史を紐解けば当然といえよう。
 本誌ではたびたび北朝鮮建国の陰の立役者とも言うべき「金策」を大日本帝国の残置諜者と呼び、北朝鮮・金王朝自体を大日本帝国の残置国家であり、米占領中の日本に代わって今でも大東亜戦争を継戦中である、と唱えてきた。かかる「異説」を堂々と検証する書籍が大手出版社から最近上梓された。
▼北朝鮮は二〇〇二年九月一七日の日朝首脳会談直前、日本海に北朝鮮国旗を掲げた「金策」という船名を記した「工作船」を遊弋させたことがある。
 北朝鮮の公式記録によると、金策とは金日成と共に朝満国境地帯で「抗日パルチザン」闘争を戦った革命同志で、年長ゆえに金日成の師だったといわれている。金日成の死後、その金庫から金策と並んで撮った写真が発見された。金日成が大事に保管していたことから見て、金策との間の同志愛の美しさが北朝鮮紙で報道されたこともあった。
 金策は日本の陸軍参謀本部が日本の朝鮮統治に反抗する反体制運動に対して送り込んだ間諜であり、ロシア工作で有名な情報参謀・明石元次郎大佐の系列の人物といわれている。金日成の若くして死んだ先妻、金正淑と、金策は男女関係にあり、金正日は実は金策の子であるとの説もある。
 金正日の風貌は金日成の東洋大人的風貌とは全く似ていない。そのことを金日成は知っていたが、金策を咎めることはなかったという。金正日は自らの日本人出自を知っており、金策が金日成に建言した金王朝による擬似天皇制支配体制の秘密を認識し、これを推進した張本人である。
 日米戦の敗北により、日韓合邦時代は終焉を迎え、金策等をはじめとした残置諜者は次なる大日本帝国の百年に向けて朝鮮半島の動向に影響を与えるべく金日成パルチザン神話捏造を主導、深奥の北朝鮮支配体制確立に尽くした。その胴元はソ連の衣に隠れた日本人諜者であったということができる。だが肝腎の本国・日本は米占領下で経済的繁栄を謳歌して国家の独立を放棄し、日本の再起を熱望する残置諜者たちの存在を忘却しはじめた。
 朝鮮戦争、ベトナム戦争、よど号事件、三島事件など日本人の覚醒を促す出来事は相次いで起こったが、衣食住の欲望を満足させた日本人はとうとう残置諜者たちを自らと無縁の存在とし、大日本帝国自体を疎ましいものとして記憶の外に追いやったのだ。
▼昭和四五年三月、赤軍派学生が日航機よど号を乗っ取り北朝鮮に亡命した。赤軍派学生に乗っ取りのための活動資金を出したのは、有名女性歌手の夫で元学生運動家だったといわれている。彼は当時、統一教会の資金援助を受けて事業を行なっており、赤軍派学生への本当の資金源は統一教会だったようだ。統一教会は教祖文鮮明のカルト的資質に目を付けた韓国中央情報部と、反共カルト宗教育成に血道を上げていた米CIAの後援によって育成された、米韓情報機関お抱えの疑似耶蘇教団体で、その主要任務は資金獲得と情報収集にあった。統一教会が赤軍派学生に資金を提供し北朝鮮に亡命させた目的は、米CIAと北朝鮮軍・情報機関とのパイプを設置するためだった。米朝「核危機」の最中の平成六年、オウム真理教は「松本サリン事件」を起こし、翌七年には「地下鉄サリン事件」を起こした。オウム真理教幹部はたびたび北朝鮮とロシアを訪問、麻薬・覚醒剤・武器取引に手を染めた。日本国内の暴力団がオウムと北朝鮮絡みの薬物売買に関与していた経緯を警察当局は追跡していたにも拘わらず、なぜか上部からの圧力で沙汰止みになっている。オウム真理教幹部には多数の元統一教会会員が潜入していた。オウム真理教事件で垣間見えた北朝鮮からの麻薬・覚醒剤密輸問題はCIA=北朝鮮軍・情報機関の闇の関係を暴露しかねない一大事だった。北朝鮮の麻薬・覚醒剤利権は米CIAの東アジアにおける最大の資金源であり、これを米国による裏体制保証と北朝鮮も認識していた。
▼こうした「密教」に属する歴史の最深部が近刊の書では炙りだされている。密教は秘されてこそ花で、公開されては意味がない。金王朝三代目継承の微妙な時期に日朝を結ぶ闇の回路に光が当てられたということは、その回路が無用となり、新たな密教回路が密かに生まれたことを意味する。それは北京との駆引きを巡る米朝間の新たな回路であり、これに共振しても交わることのないのが日本発「東アジア共同体」構想なのかも知れない。
(青不動)