常夜燈索引

                    

  再び「郵貯マネー強奪」の大合唱! 
          (世界戦略情報「みち」平成22年(2670)6月15日第318号) 

▼郵政マネー強奪の大合唱が始まった。

①郵政法案に「遺憾」表明
 WTO違反も、米欧業界
 米国生命保険協会や在日米国商工会議所など米欧の一三業界団体は五月一〇日、声明を発表し、日本政府が四月三〇日に閣議決定した郵政改革法案に「遺憾の意」を表明した。また「日本の世界貿易機関(WTO)義務の順守について深刻な疑念を生ずる」と強調、協定違反の可能性を指摘した。声明は「日本郵政と民間会社の間で公平な競争条件が構築されるまで、新たな商品やサービスの取り扱いをするべきではない」と主張し「日本政府はこうした懸念を無視した」と批判。具体的には、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険に対し、民間会社にはない税制優遇制度や規制の例外規定を設けていると指摘した。預金限度額や保険金の上限を引き上げたことを問題視している。WTO協定は、自国企業と同じ待遇を外国企業に保障するよう義務づけている。(共同五月一一日)

②日米欧がWTO大使級協議
 郵政改革、通商摩擦発展も
 米通商代表部(USTR)は、日本政府が四月三〇日に閣議決定した郵政改革法案に関して、日米欧の世界貿易機関(WTO)大使級協議を二一日にスイスのジュネーブで開くと発表した。USTRはWTOへの提訴も視野に入れ、日本政府に対し郵政事業見直しに強い懸念を表明する見通し。USTRが鳩山政権の郵政民営化見直しで、日本とWTO大使級協議を開くのは初めて。米欧業界団体もそれぞれの政府に、日本政府への圧力を強めるよう働き掛けており、新たな通商摩擦に発展する可能性もある。USTRは三月に発表した二〇一〇年版の貿易障壁報告書で、日本郵政グループのかんぽ生命保険の圧倒的な市場支配力を問題視し「保険市場の競争に大きな影響が出る恐れがある」と批判。民間企業と公平な競争条件を確保するための対策を取るよう求めた。(共同五月一五日)

③郵政事業に「深刻な懸念」
 米欧、大使級協議で表明
 日本、米国、欧州連合(EU)は二一日、日本で国会審議入りした郵政改革法案をめぐり、ジュネーブで世界貿易機関(WTO)担当の大使級協議を開いた。米欧側は日本郵政グループの金融事業について、民間との公平な競争条件を損なっているとして「長期にわたり、深刻な懸念を共有している」と表明。同法案はこうした懸念を助長するとして「失望感」を示した。
 鳩山政権の郵政民営化見直し問題で、WTO担当大使らによる協議が行なわれたのは初めて。米欧はWTO本部のあるジュネーブで協議することで、将来のWTO提訴の可能性もちらつかせ、日本に改善を求める狙いがあるとみられる。米欧側は、郵政改革法案は内外企業の平等な待遇などを定めたWTOのサービス協定上、問題があるとの立場を表明した。日本はこれに対し、法案は完全民営化路線により生じた問題を是正するのが目的だと反論。同協定を含む国際ルールとの整合性を確保しつつ対応するなどと説明した。

▼郵政改革法案を所管する亀井金融担当大臣は欧米諸国の「WTO違反」という大合唱に恐れをなして郵政改革法案を取り下げるべきだとご注進に及んだ外務官僚に対して、「お前はどこの外交官だ、WTO違反にならないと論陣を張るのがお前の役目で、外国の要求を真に受けて取り下げろとはお前は外国の代理人か!」と叱責したという。
 結局、郵政改革法案は衆議院を通過したものの、参議院で審議未了、廃案となった。
 二五〇兆円とも言われる世界最大の金融機関、郵便貯金、簡易保険をめぐる政争は小泉政権以来根が深い。大蔵省・財務省が決して手を着けることができなかった郵政マネーを民営化という大義名分で外資に開放しようとした小泉・竹中民営化路線が政権交代で頓挫し、歯止めがかかったかと思われた矢先の反小沢・亀井クーデターの勃発で再び郵政マネーの争奪戦が振り出しに戻ったのだ。
▼菅直人政権は極左政権などと言われるが、本質は違う。本格的な親米保守政権になる可能性があるのだ。 
 郵政民営化の再開、消費税増税、法人税減税、普天間基地の辺野古への移転、政府系法人の民間開放など、現在管内閣が掲げている政策はどれも財務省が練り上げたものであって、経団連や経済同友会などが推進している政策そのものである。そしてそれは、米国の利益を満たすものでもある。
 つまり小泉・竹中政治への回帰であり、財務省、財界、アメリカを満足させる政権が誕生したということなのだ。
 この政権には権力保持の強い衝動があるだけで、そのためには強いものと組めばいい、と言う単純な力学が働いているにすぎない。
 かつて三島由紀夫は「日本はなくなって、その代わりに、無機質な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、ある経済大国が極東の一角に残るであろう」と警告を遺したが、わが日本は、三島由紀夫が指摘した、ニヒリズムの極致のような国家へとまっしぐらに向かっている。 (青不動)