みょうがの旅    索引 

                    

 弊誌創刊三〇〇号に際して ─ 感謝をこめて
              (世界戦略情報「みち」平成21年(2669)9月1日第300号) 

●弊誌みちは本号をもって、平成八年二月十五日号の創刊号以来三〇〇号を数えることになった。この間、十三年半の歳月を講読というご支援によって一貫して支えて下さった方々や弊誌をご高覧いただいて鋭いご批評とご指導を賜った方々、あるいはまた拙い弊誌に貴重な原稿を寄せて下さった方々に、心から感謝の気持ちを申し上げたい。
 もとより営利は念頭になく、ひたすらわが日本の拠るべき柱を建てんとの願いだけで始まったささやかな営みであったが、多くの方々のご支援・支持がなければ、決して今日まで継続することはなかった、と肝に銘じている。
●思い返せば、汗顔の至りの失態続きであった。早くも六号目で編集が間に合わず、次号との合併号という醜態をさらしたばかりか、さらに同じ無様を一一・一二合併号でも繰返し、また、月二回年間二二回刊行のわずか一〇頁の薄い片々たる情報誌に二万四千円もの年間購読料をお願いしながら、創刊一年経つころにどうしても資金繰りが立ちゆかなくなり、急遽臨時ご支援をお願いするという形振り構わぬ失態を冒してしまった。それにもかかわらず、おそらくは呆れながらも、早速多大のご支援を寄せて下さった方々がある。その時の感激を私は決して忘れない。そのご恩に報いようとあれこれ算段をしても、分量を一〇頁から一二頁に、そしてようやく一六頁に増やすには、なお多くの歳月が必要だった。さらに二〇頁まで増やしたいと願いつつも、成り立たなくなっては元も子もないと慎重を期し躊躇している内に一四年目を迎えてしまったのが実情である。
●「創刊の言葉」として、次のような文章を私は綴っている。

「衣食足りて礼節を知る」という格言があります。衣食住の充実はもとより掛け替えのない大切なものです。しかし、原則なき国家日本に生きるわれわれはいま、「礼節ありて、衣食備わる」という先人の信念と知恵に学ぶ必要があるのではないでしょうか。……
「天に法あり、地に道あり、人に礼節あり」こそ、日本人の揺るぎない信念であったはずなのです。われわれもまたこの伝統に立っています。東洋の国たる日本は原始縄文時代から成熟した高い文明に則って暮らしながら、その文明を粘土板に刻むことも、甲骨文字に記すこともありませんでした。だが、日本人は数万年数千年の以前の早きに、こうした天地の法則を直感し実践していたに相違ありません。

 拙い文章ながら、ここに込めた信念は今なお聊かも揺らぐどころか、愈々強くなるばかりである。
●そして、この信念あればこそ、創刊以来変わらずご支援下さる方々があり、また弊誌が烈々たる志の持主の結集の場ともなってきたのだと聊か自負している。だが、いまだ暗中模索の手探りであることに変わりはなく、不思議な縁によって同志栗原茂を得なければ、この信念が公に通じるとの確信を得ることはなかったろう。
 栗原は長い間に書きためた珠玉の論考を惜しげもなく提供したばかりか、私の年来の念願であった「舎人学校」創設の講師として独自の見解を同志有志に披瀝して微塵も惜しまず、われらが日々研鑽の指導に倦むことがない。洵に稀有の邂逅と感謝するのみである。そしてこの邂逅を齎してくれた富士谷紹憲さんは政界裏面に暗躍する怪人物だったが、八月三〇日の選挙で示された戦後政治の大転換を見届けずに大往生された。茲に感謝をこめてご冥福をお祈りする。