みょうがの旅    索引 

                    

 川田薫「人は己れを磨くために生まれてくる」  
    (世界戦略情報「みち」平成23年(2011)2月1日第331号) 

●近代科学の大前提である公理の中で最大のものは「実証可能」ということであろう。つまり、誰が実験しても同じ結果が出るということだ。ところが、この科学の根底的な約束が怪しいのではないかと異議を唱えている科学者がある。理論物理学・生命科学の専門家である川田薫先生である。先生については以前にも紹介したことがある。
 川田先生によれば、所定の手続きを行なえば、ある結果が出るという理論が正しくても、実験を行なう人によっては、必ずしも所期の成果が得られない場合があるというのだ。また、同じ科学者が実験をしても心が乱れている時には、思わしい結果が出ないこともある。特に最先端のナノ・レベルの実験ではこうした傾向が顕著に顕われるという。
 科学が心に左右されるという事態は、科学が万能ではないという一つの証として、近代科学の驕りを反省させる端緒となりうるものだろう。
●川田先生は実験によって「生命体」を誕生させた唯一の科学者でもあるが、生命が誕生する時はまず「体」ができ上がり、それから一定の有限な時間が経過した後に、「その生命体に固有のエネルギー」が「移入」してくる。こうして初めてこのエネルギーが原動力となって体が動くようになる。つまり、生命体が誕生する。
 すると、「その生命体に固有のエネルギー」こそが生命そのものであると考えられるが、それがいったい何なの
かはよく分からないのだそうである。
 つまりここにも、科学の限界が露呈していると言うべきだろう。何か得体の知れないエネルギーがどこかから「移入」してきて初めて生命が誕生するとなると、せいぜい科学にできることは周到な準備の下に「体」を用意して待つことくらいである。
●先日にも鈴木利男さん主宰のSDG勉強会で川田先生のお話をお聞きする機会があった。充実した多岐にわたる内容で、とても一言二言で尽くせるものではないが、人間のいのちもまた、どこかからやってきて両親が用意した体に宿るのだという御説には感服した。人のいのちは、あくまでもそのいのち自身の意志によって相応しい体を選んで生まれてくる。ではなぜ人は生まれてくるのか。人が生まれるのは、人として生きることの不自由と苦楽を体験することを通し己れを磨くためである、と川田先生はおっしゃるのだ。
 親が子を作るのではない。子が親を選ぶのである。してみると、どんな境涯に生まれようと、それはすべて己れ自身の選んだ結果なのだ。
●川田先生の話に出てくる「生命体に固有のエネルギー」というのは、科学に疎い一般人の言葉では、「魂」というほどの意味であろうか。なぜ魂はわざわざ不自由な「体」を選んで、人として生まれるのか。それは魂だけでは進化が遅く、「体」を得て苦労することによって魂が猛スピードで進化を果すためだと先生は言われる。
 だから人として姿形は似通っていても、進化の度合い、つまり魂の境位には雲泥の差がある。科学においてさえ、精妙な実験で魂の境位が結果に関係してくるのはこのためである。人として生きる苦も楽もすべて進化のうえで意味があるという川田先生のお話は聞く者に不撓不屈の勇気を与えてくれた。
 なお、今回の川田先生のお話は動画投稿サイトのユーチューブの中にあるmahorobajapanの以下のチャンネルにて、三話に分けて掲載されている。 http://www.youtube.com/watch?v=hU5jPDlUYmQ&feature=related