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   神々は怒り苦悶している
     (世界戦略情報「みち」平成23年(2671)4月15日第336号)

●東日本大震災から一ヶ月を過ぎて、福島原発の被害規模がチェルノブイリ同様の「レベル7」に引き上げられた。近代の齎した便利さに慣れて、それがいったいどういう代物であるか考えることを止めたツケが一挙に襲ってきた感がある。いま最優先の課題は被害に遭った人々の暮らしを一日も早く立て直すことにあるが、同時に、こういう大惨事を招いたそもそもの意味を究明することも避けては通れない。
 三月一一日の三陸沖大地震と以後に頻発する余震すべての震源地を点で示した震源地地図が様々なメディアなどで紹介されている。東北関東地方の海岸部および海洋を含む長さ五〇〇キロ幅二〇〇キロの震源図を見たとき、「神々は怒り苦悶している」との感を私は禁じえなかった。所狭しと重なり合うおびただしい点の数々。震源地は北陸から中部地方にまで拡がっている。
●地質学の説明では「世界最大の太平洋プレートが二〇世紀後半から東西南北全方向へ急速に拡大し始めたことが原因で、その結果、太平洋プレートの内部と周辺プレート境界の地殻内部に膨大な圧力エネルギーがたまり続けてきた。それがついに限界を越えて放出された」(週プレNEWS、三月一二日配信)のだそうで、突然今年一月末に噴火した霧島山新燃岳も二月二二日にニュージーランドのクライストチャーチ市を襲ったM6・3の直下型地震も、さらに三月からマグマ流出量が急増しているハワイ・オアフ島のキラウェア火山の活動も、この地殻のエネルギー放出が原因だという。
 そして今後は、同じように「膨大な地震エネルギーを溜め続けてきた、西日本地域の太平洋沿岸に延びるプレート境界地震だ。宮城県沖、茨城県沖と、震源が南下しながら連動発生した巨大地震の次に来るもの、それはやはり、『首都圏直下』『房総半島南沖』『東海・東南海・南海トラフ』、これらを震源とした巨大地震の大破局しか考えられないのだ」と警告する(引用同)。未曾有の大災害はこれですべてではなく、まだまだ今後さらに続く恐れがあるという。
●そういう説明が地質学的にできるといっても、釈然としないものが残る。やはり今回の大惨事は、神々の怒りの鉄槌が下ったとの思いを禁じえない。地震と津波とは人間が避けることのできない自然の猛威であるが、原子力は違う。人間が自然を操れると過信して手を染めた悪魔の所業である。だが、原子力は人間が手を染めてはならない禁断の木の実であることは日々明らかになりつつある。
 それを「クリーン・エネルギー」だとか「原子力の安全性」などと言いつくろってきたのだ。そういう標榜がいかにまやかしと欺瞞に満ちていたか、われわれは思い知らなければならない。
●本号常夜燈に、東北地方こそは日本の原点であり、日本文明の故郷であるとの趣旨が述べられているが、今回の災害が新燃岳に始まり東北関東地方に集中していることはやはり意味がある。一説に縄文時代以来の太陽信仰ネットワークの基準点は福島県大徳坊にあり、富士山も白山も東日本の霊山はすべてこのネットワーク上に位置して、それがやがて大和の三輪山を基準点とする太陽信仰ネットワークに統一され日本という国が成立したという。今回の大災害を機に人として犯してはならない悪魔の所業から手を洗い、敬虔な気持ちで禊祓して、新たな太陽信仰の下で世直しと国造りに邁進することが求められていると思われてならない。