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 資源に恵まれた日本 
(世界戦略情報「みち」平成25年(2673)3月1日第377号) 


●わが国が資源に乏しいという常識を改める時代が来たようだ。わが国は、三・一一大災害によって国家の在り方を根本的に見直すことを余儀なくされたが、まさにこの受難と時を同じくして、実は日本には豊富な天然資源が眠っていることが明らかになった。
 日本海の海底の表層にふんだんに転がっていて採取も容易な新エネルギー源のメタン・ハイドレートについては本誌も夙に注目し、一日も早い実用化を訴えてきたが、太平洋側でも日本の排他的経済水域に良質のレアアースが豊富に眠っていると最近の調査により分かったのだ。物を持ったからといって、支那のように昨日まで卑屈だった態度を急変し居丈高になるのは国家としても人としても褒められたことではないが、資源に乏しいことを口実に他力本願になることだけは、これからの日本で通用しなくなるに違いない。
●二月二七日夕方七時半からのNHK報道解説番組「クローズアップ現代」で、南鳥島周辺の日本の排他的経済水域にレアアースが豊富にあることを採り上げた。昨年平成二四年六月に東京大学の研究チームが南鳥島沖の海底を調査して大量のレアアースの存在が確認されていた。東京大学研究チームの発表では、日本で消費されるレアアースの二三〇年分もの量が海底に眠っているという。先月二一日に海洋開発機構の調査船「かいれい」が第二次調査に出発、水深五六〇〇メートルの海底六ヶ所から泥を採取して三一日に帰港した。泥の分析を行なった東京大学の加藤泰浩教授は「この辺りだけでも(日本の消費量の)二三〇年分あるとされていたわけですが、南鳥島全体でいうと、その一〇倍とか一〇〇倍とか、この中に量としては無尽蔵と言っていいぐらいあります」「レアアースが高い濃度で含まれる泥が、海底面に近いところで見つかったので、資源として開発できる可能性が高まった」と話している。泥には六〇〇〇PPMという高い濃度でレアアースが含まれていて、そのうえ番組に出席した大阪大学名誉教授の足立吟也氏は、レアアースを取り出す際に通常は鉱石中に含まれる放射性物質トリウムの処理が非常に困難な問題となるのだが、南鳥島周辺海底の泥にそのトリウムがほとんど含まれないことはもっとも注目すべき点だと指摘する。また、現在支那がほぼ独占しているレアアース鉱石に比べ南鳥島の泥は、ハイブリッド車に必要なジスプロシウムは二〇倍、IT機器に必要なテルビウムは一六倍、LEDに必要なユウロピウムは三五倍の高い濃度とされる。つまり、最先端ハイテク産業に必要なレアアースの高濃度で良質なものが、南鳥島周辺に無尽蔵に眠っているのだ。
●ただし、五〇〇〇メートルを超える深さの海底からレアアースを採取するには当然ながら技術的な困難が伴う。だがすでに、フランスのテクニップ社は三〇〇〇メートルまでなら高圧力に耐え海底資源を採取できる金属パイプを開発しているとも紹介された。
 経済産業省は将来の商業化を睨んで本年度から南鳥島沖の海底の泥に含まれるレアアースの調査を本格化し、今後三年間に約四〇ヶ所で試掘することを発表している。
 わが国が資源に乏しいという常識はもはや通用しない。他人の持てる物をただ羨んで嘆くのではなく、自分に恵まれている物を改めて見直し、その活用に向け努力すること、この当たり前のことを希土類(レアアース)発見は教えている。