みょうがの旅    索引 

                      

  われらが拠るべきみち 
    (世界戦略情報「みち」平成9年(2657)12月1日第42号) 

絶望するのはまだ早い
 あることがらが、偶然に起きたものであるのか、それとも一定の意志の下に計画的な意図に沿って引き起こされたものであるのか、それを判断するのは想像力である。
 イエズス会による日本布教以来、日本はさまざまな欧米勢力と対峙してきたが、欧米諸勢力の背後に終始一貫して持続する一つの意志をわれわれは見る。それは世界権力の世界統一支配の意志である。
 われわれは曖昧を承知で取りあえず「世界権力」と呼んでいるが、これは英語の World Order の訳である。他にも「三百人委員会」「島のクラブ」「オリンポスの神々」「ユダヤ最高法院」など、種々の呼び方がある。それぞれの呼称の意味するところは微妙に異なっていて一長一短がある。世界の統一支配を目論む寡頭勢力を何と呼ぶべきか、ピタッと納得できる呼び方はまだない。
 ともあれ、本誌の世界情報分析でも再々論じてきたように、世界権力は天然資源・金融・情報通信の分野において、すでに世界的覇権を確立したと言ってよい。だが、今後はすべて世界権力の意図するとおりに世界が動いていくかというと、常識で考えてもそんなことはありえない。なぜなら、いくら「もの」を支配しても、人間の問題、人間の意志の問題が常に残っているからである。

●人間のいのちと心を否定する洗脳工作
 このことは、世界権力も重々承知らしい。彼らは人間の知性を否定し、人間の心を支配することに厖大な労力を注いできた節がある。西洋思想の内部においても、人間が動物にすぎないとする彼らの考えに対して、人間が神の姿に似せて造られ自由な意志をもった存在だとする考えが出て対抗してきた。
 人間否定の邪悪な思想は、英米の思想家に多く見られる。トマス・ホッブスやジョン・ロック、アダム・スミスやトマス・マルサスデイヴィッド・リカード、チャールズ・ダーウィンなどすべて世界権力に仕えた御用学者である。これに対して、イタリアのルネッサンスの思想家ニコラス・クザーヌスや国家指導型の経済を説いたライプニッツは世界権力に挑戦した闘士である。
「人口問題」や「優生学」というのも、世界権力が「学問」を装って流布している人間否定の洗脳工作にほかならない。人口問題については、ローマクラブの『グローバル二〇〇〇』を弾劾したジョン・コールマンの論考などが出て彼らの本音が明らかになったが、「優生学」についても最近、ゲイリー・グラハム『暴露・エイズウイルスは細菌兵器だった』(林督元[まさゆき]訳、KKベストセラーズ、一一月五日刊)が刊行されて、その一端がようやく明らかになった。同書によれば、優生学研究の司令塔は一九〇四年に米国で設立された。その名称は「実験的進化研究所」や「優生学記録所」「コールドスプリングハーバー研究所」などと変遷した。エイズを蔓延させたのも、この司令塔からの指令によるという。

●「教育勅語」をわが血肉とする
 われわれ日本人の考えは、人間も動物も山川草木に至るまで共通の「いのち」というものがあり、それぞれの分に応じた生き方がある、というものだ。人間は限りなく自由である。だが、それはあくまでも天のみち、自然の大法則に従うかぎりにおいてである。
 最近になって、『みち』の同志の集まりがあったとき、来年から「教育勅語」を奉読しようということになった。それぞれ知ってはいるが、血肉になっているかというと、いささか自信がないという反省からである。
 本号の「逸史発掘」にもあるように、日本精神の根幹が冒され、日本がおかしくなり始めたのは、すでに大正デモクラシーの時代である。それ以前、日本をして日本たらしめていた根幹が端的に「教育勅語」にある、と皆が一致したのだ。国を大事に思う気持ちも、親を思う心も、そして分を知って謙虚に暮らす心得も、すべてここにある。そして、世界の国々の中にあって日本が応分に役割を果たすべき気概の根源もまた、ここにある。